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線状降水帯が発生するかもしれないとき、事前にできること
2026/09/03
前回は、突然の線状降水帯に襲われて道路が冠水してしまった場合に「どう行動すればいいのか」ということについて書きました。

今回はその続きとして、線状降水帯が発生するかもしれないと分かった段階で、私たちにできる準備について考えてみたいと思います。

線状降水帯というと「ものすごく雨が降る」というイメージがあるかもしれません。
もちろん、それも間違いではありません。

ただ、怖いのは雨そのものだけではなく、短い時間に大量の雨が降ることで、洪水や土砂災害、道路や住宅の浸水など、さまざまな災害が一度に起こる可能性があるということです。

だからこそ「雨が降ってから考える」のではなく、「雨がひどくなる前に準備しておく」ことが大切になってきます。

では、実際に線状降水帯が発生する可能性が高いと分かったら、何をしておけばいいのでしょうか。


●発生する可能性が分かったら、まずは情報を確認する

線状降水帯が発生する可能性があると分かったら、まず確認したいのが自分の住んでいる地域の状況です。

気象庁の最新情報を確認するのはもちろんですが、普段からハザードマップを見ておくと、いざというときにも判断しやすくなります。

例えば、

「自宅は浸水する可能性がある場所なのか?」「近くに川や用水路はないか?」「土砂災害警戒区域に入っていないか?」「避難するなら、どこへ行けばいいのか?」

こうしたことを、雨が降る前に一度確認しておくことが大切です。

避難所の場所も、実際に地図で確認しておくと安心ですね。

「避難所は知っているけど、そこまでどうやって行くんだろう?」というところまで考えておくと、より具体的な備えになります。


●車も雨が降る前に移動しておく

意外と忘れがちなのが車の置き場所です。

大雨が降り始めてから、「車を移動させたほうがいいかな?」と考えても、その頃には道路の状況が悪くなっている可能性があります。

地下駐車場や河川の近く、周囲より低くなっている場所など、浸水の可能性があるところに車を置いている場合は、雨がひどくなる前に安全な場所へ移動できないか考えておくと、いざという時に安全です。

もちろん、移動すること自体が危険になりそうな場合は無理に外へ出ないことも大切です。

「雨が強くなる前に動かしておく」

これだけでも、できることのひとつですね(*^-^*)


●家の周りも雨が降る前にチェック

大雨のときは、普段は気にならない家の周りのものが思わぬトラブルにつながることがあります。

雨どいや側溝に落ち葉やゴミがたまっていないか。
ベランダや庭に、風で飛ばされそうなものが置いていないか。

こうしたところを、雨が降る前に一度確認しておくことをおすすめします。

雨どいや側溝が詰まっていると雨水がうまく流れず、思わぬところに水がたまることもあります。
また、風が強くなることも考えて植木鉢や物干しなど、飛ばされそうなものは片付けておきます。
シャッターがある場合は、早めに閉めておくのもひとつです。


●断水や停電にも備えておく

大雨によって、停電や断水が起こる可能性もあります。
そこで、まだ水道や電気が使えるうちに準備しておきたいものがあります。

例えば、お風呂に水をためておくこと。

飲み水とは別に、トイレなどの生活用水として使えるようにしておくと安心です。
スマートフォンやモバイルバッテリーも充電しておきましょう。

スマートフォンは、災害時の情報収集や家族との連絡に必要になります。
スマートフォンだけでなく、モバイルバッテリー、懐中電灯、乾電池なども一緒に確認しておくといいですね。

「充電しておけばよかった……」となる前に、早めに準備しておきたいところです。


●食料は「雨が降っても外へ出なくていい」くらいに

大雨の中、買い物に出かけるのは危険です。
線状降水帯の発生が予想されているときは、食料や飲料水なども早めに準備しておきましょう。

備蓄の目安としては最低3日分、できれば7日分程度を考えておくと安心です。
特別な防災食をすべてそろえる必要はありません。

普段食べているレトルト食品や缶詰、インスタント食品など、家族が食べ慣れているものを少し多めに置いておく方法でも十分です。

そして、停電に備えて冷凍庫の保冷剤を凍らせておくのも、ちょっとした準備になります。


●雨が強くなってきたら「まだ大丈夫」をやめる

ここからは、前回の記事とも少しつながってきます。

線状降水帯が発生して雨が強くなってきたら、「まだ大丈夫」と様子を見続けないこと。

特に自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域にある場合は、早めの避難を考えることが大切です。


●避難するときは、道路が冠水したり視界が悪くなったりする前に動く。

夜になってからの避難は周囲の状況が見えにくくなるため、できるだけ明るいうちに安全な場所へ移動できるよう、早めに判断しておきたいですね。

前回の記事でも書きましたが、道路が冠水してからでは、安全に移動できないことがあります。

だからこそ、「危なくなってから逃げる」のではなく、『危なくなる前に逃げる』ことが大切になってきます。


●マンションの場合はどうする?

マンションなどの集合住宅に住んでいる場合は、建物の階数や周囲の状況によっても判断が変わります。
浸水の危険がある場合には、上の階へ移動することで安全を確保できるケースもあります。

ただし、土砂災害の危険がある場所では、単純に「上の階に行けば大丈夫」とは限りません。

自分の住んでいる場所が、どのような災害の危険がある地域なのかをあらかじめ確認しておくことが大切です。


●「逃げる基準」を家族や会社で決めておく

防災について考えていると、「結局、いつ避難すればいいんだろう?」というところで迷ってしまうことがありますよね。

だからこそ、普段から家族や会社などで「この状況になったら避難する」という基準を決めておくのもひとつの方法です。

例えば、大雨特別警報や土砂災害警戒情報、河川の水位など、自分たちの地域で特に注意すべき情報を確認しておきます。
自治体から避難情報が出た場合も、どのタイミングで行動するのかを家族で話し合っておくと、いざというときに迷いにくくなります。

災害が起きてから、「どうする?」「まだ逃げなくても大丈夫じゃない?」と話し合うのではなく、普段のうちに決めておく。

意外とこういう準備が大切なのかもしれません。


●会社でも少しだけ考えておきたいこと

これは家庭だけではなく、会社でも同じです。

大雨が予想されるときには「社員は無事なのか?」「出社してもらうのか?」「今日は営業をどうするのか?」といった判断が必要になります。

例えば、会社のLINEなどを使って社員の安否を確認する方法を決めておいたり、家族を含めた避難状況を確認できるようにしておくのもひとつです。

また、パソコンや重要な機器をできるだけ高い場所へ移したり、社用車を浸水の可能性が低い場所へ移動したりするなど会社の設備についても事前に確認しておきたいところです。

「災害が起きたら会社をどうするか」ということも、企業にとっては大切な防災対策ですね。


●一番大切なのは「早めに判断する」こと

線状降水帯による大雨では、短い時間のうちに状況が大きく変わることがあります。

「もう少し様子を見よう」

「まだ避難しなくても大丈夫だろう」

そう思っているうちに、道路が冠水して外へ出られなくなることもあります。

だからこそ、「避難しようかな」と思ったときには、すでに避難の準備を始める。

それくらいの気持ちで早めに行動することが大切なのではないでしょうか。

もちろん、実際の避難は地域の状況によって変わります。
だからこそ、普段からハザードマップを確認して自宅や会社の周りにどんな危険があるのかを知っておく。

そして、「もし今夜、線状降水帯が来るとしたら、自分はどうする?」と、一度考えてみる。

それだけでも、いざというときの行動は変わってくるかもしれません。

線状降水帯は、いつ、どこで発生するかを完全に予測することはできません。
だからこそ、特別なことをするのではなく、できる準備を少しずつ積み重ねておく。

「危険になってから逃げる」のではなく、「危険になる前に備える・逃げる」。

これが、線状降水帯から身を守るために、私たちができる大切な準備なのだと思います。

線状降水帯が発生するかもしれないとき、事前にできること
線状降水帯が発生するかもしれないとき、事前にできること
明日は我が身
2026/08/31
天気予報では、特に大雨の予報は出ていなかったのに、突然、線状降水帯に覆われてしまう。

辺り一帯が見えないくらいの大雨が降り、気がつけば道路も一気に冠水している……

そんな状況になったら、私たちはどう対応すればいいのでしょうか?
これは決して大げさな想定ではありません。

気象庁も、線状降水帯は事前の呼びかけがなくても発生し、災害につながるような大雨になることがあるとしています。
2026年5月からは、線状降水帯の発生をより早く知らせる「直前予測」も始まりましたが、それでも自然現象を完全に予測することは難しいものです。

だからこそ今回は、「もし、数十分のうちに突然の豪雨に襲われ、道路まで冠水してしまったら?」という状況を想定して、どう行動すればよいのかを考えてみました。

まず覚えておきたいのは、「遠くへ逃げない。近くの高いところへ」ということです。

すでに道路が冠水し始めている場合、指定避難所まで何百メートル、何キロと移動することが、かえって危険になることがあります。気象庁も、避難場所への移動が危険な状況では、無理に移動せず、浸水しにくい高い場所などで身の安全を確保するよう呼びかけています。

では、実際にどのような状況になったら、どう動けばいいのでしょうか?

【建物の中にいる場合】
自宅や会社などの建物の中にいる場合は、まずできるだけ高い場所へ移動することを考えます。
頑丈な2階建て以上の建物であれば、2階・3階など、浸水しにくい上の階へ移動。

そのとき、スマートフォンやモバイルバッテリー、靴、飲料水、常備薬など、必要最低限のものだけを持って移動しましょう。「念のため、あれもこれも……」と取りに戻っているうちに、外の状況がさらに悪化する可能性があります。

また、川や崖に近い部屋はできるだけ避けるようにします。
地下にいる場合は特に注意が必要です。
地下駐車場や地下街などにいる場合は、まだ移動できるうちに地上階へ上がることを最優先にしましょう。

【外にいる場合】
外にいるときに突然激しい雨が降ってきたら、無理に遠くまで移動しようとせず、近くにある頑丈な建物へ避難することを考えます。

例えば、コンビニやスーパー、ホテル、マンション、公共施設などです。

ポイントは、近くにある高い建物。
すでに道路が冠水している状態で、「避難所まであと100mだから……」と歩いて向かうのは危険です。

冠水した道路は、普段見えているものが見えなくなっています。
濁った水の中では側溝や用水路、マンホール、段差などが分からなくなってしまいます。

「これくらいの水なら歩けそう」と思ってしまうかもしれませんが、水の流れがある場所では足を取られる危険もあります。大雨のときは、できるだけ水の中に入らないことを心がけたいですね。


『車を運転している場合は特に注意』

突然の大雨で、特に気をつけたいのが車を運転している場合です。

「車なら、そのまま安全な場所まで行けるのでは?」と思ってしまいますが、冠水が始まっている道路では、車も危険な状態になることがあります。

道路に水がたまっているのを見つけたら、無理に進まず、可能であれば安全な場所へ引き返すことを考えましょう。

特に注意したいのが、アンダーパス・川沿いの道路・堤防道路周囲より低くなっている場所などです。

全国には約3,700か所のアンダーパスがあります。

普段は何ともない場所でも、短時間に大量の雨が降ると排水が追いつかず、急激に水がたまることがあります。
「前の車が通っているから大丈夫」「これくらいなら行けそう」という判断はしないようにしたいところです。

さらに怖いのが、すでに車の周囲まで水が集まってきている場合です。
水位が上がると、エンジンが止まってしまったり、水圧によってドアが開かなくなったりすることがあります。

そのため、「エンジンが止まるまで車の中にいれば大丈夫」と考えないことが大切です。
安全に車から出られる状況であれば、早めに車を離れて、近くの高い場所へ移動します。

もし車が水没し始めてドアが開かなくなった場合には、窓が開くうちに開けて脱出します。
それも難しい場合に備えて、車の中に脱出用ハンマーを備えておくのもひとつの方法です。
せっかく用意していても、いざというときに取り出せなければ意味がありません。

車の中で手の届く場所に置いておくことも大切ですね。


『逆に「やってはいけないこと」は?』

突然の大雨に遭遇すると、「何とかしないと」と焦ってしまうと思います。
そんなときこそ、次のような行動は避けたいところです。

「避難所まで行かなくちゃ」と、冠水した道路へ出る。
「このくらいなら大丈夫」と、車で水の中へ入っていく。
川や用水路の様子を見に行く。
地下や周囲より低い場所にとどまる。

そして、もうひとつ気をつけたいのが、「警報や避難指示が出るまで待つ」ということです。

大雨は、短時間で状況が大きく変わることがあります。
気象庁も、自治体から避難情報がまだ出ていない場合でも、急激に状況が悪化することがあるため、危険を感じた場合は自ら安全な場所へ移動するよう呼びかけています。
「まだ避難情報が出ていないから大丈夫」ではなく、「危ないかもしれない」と思ったら、早めに動く。

これも大切な防災のひとつだと思います。


『「明日は我が身」と考えてみる』

2026年8月26日には、国土交通省・内閣府・警察庁・消防庁が、8月に発生した千葉県の大雨などを踏まえ、大雨特別警報が発表された場合に取るべき行動や、車を運転しているときの注意点について改めてまとめています。

突然の大雨によって道路が冠水し、車が危険な状態になる。
こうしたことは、決して遠い場所で起きている出来事ではありません。

日本国内のどこで線状降水帯が発生するのか、私たちには分かりません。
だからこそ、ニュースで大雨や冠水の映像を見たときに、「大変だな……」だけで終わらせず、
「もし明日、自分の住んでいる地域で起きたら?」と、一度考えてみることも大切なのではないでしょうか。

自宅の近くに高い建物はあるか。
会社から避難するなら、どこへ向かえばいいか。
車で移動しているときなら、どこで安全を確保できるか。

普段のうちに少し考えておくだけでも、いざというときの行動は変わってくるかもしれません。
自然災害は、こちらの準備が整うのを待ってくれるわけではありません。

だからこそ、物理的な備えだけでなく、「もし起きたら、自分はどう動く?」という心の準備もしておきたいですね。

ニュースで流れている大雨は、決して「遠い場所の出来事」ではありません。

「明日は我が身」

そう考えて、できることから少しずつ備えておきたいと思います。

明日は我が身
明日は我が身
令和8年熊本地震から考える「地震の後」の備え
2026/08/28
2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、熊本県では最大震度7を観測しました。

気象庁は今回の一連の地震活動を「令和8年熊本地震」と命名しています。

2016年の熊本地震から10年──。

「一度大きな地震を経験した地域だから、もう大丈夫なのでは?」

そんな考えが、決して通用するものではないことを改めて感じさせられる地震となりました。

まだ復旧や検証が続いている段階なので、今回の地震について最終的なことを言える状況ではありません。

それでも、現時点で見えてきていることの中に、私たちがこれからの防災を考えるうえで、とても大切なヒントがあるように感じます。

それは、「地震に耐えるだけでは、防災は終わらない」ということです。

家が倒れないようにすることはもちろん大切。
でも、その後に水が出なくなったら?
トイレが使えなくなったら?
電気が止まったら?
道路が通れなくなったら?
仕事を続けられなくなったら?

地震の「その後」をどう乗り切るのか──そこまで考えておくことが、これからの防災には必要なのかもしれません。


■「一度大地震を経験したから大丈夫」ではない

今回の地震を見ていて、まず感じたのがこのことです。

2016年の熊本地震からわずか10年で熊本県は再び震度7の地震に見舞われました。
今回の地震は、2016年の地震とは異なる場所を含む活動で、活断層による地震は「一度動いたから、もうしばらくは大丈夫」と単純に考えられるものではありません。

これは、私たちが暮らす四国でも他人事ではないと思います。
南海トラフ地震についても、「いつ起こるか」を正確に予測することはできません。

だからこそ、「まだ起きていないから大丈夫」ではなく、「いつ起きてもおかしくないものとして備える」という考え方が大切なんですね。

揺れが収まったら、災害も終わり……ではありません。

大きな地震が起きると、揺れが収まった瞬間に「ひとまず助かった」と思ってしまうかもしれません。
でも、そこからが避難生活の始まりになることもあります。

今回の熊本地震でも、本震の後に強い地震が続いています。
気象庁の観測でも、7月28日のM7.1の地震の後、同日中に震度5弱を観測する地震などが発生しています。

地震後の建物やブロック塀、崖などは、見た目では分からない危険を抱えている可能性があります。

「揺れが止まったから、家の中を確認しに戻ろう」
「壊れたところを自分で見に行こう」
とすることが、かえって危険につながることも……

だからこそ、避難計画は「地震が起きた瞬間」だけではなく、その後の数日間をどう過ごすかまで考えておく必要があるのだと感じました。


■水と同じくらい考えておきたい「トイレ」

今回、特に気になったのが「トイレ」の問題です。

災害時の備蓄というと、まず水や食料を思い浮かべますよね。もちろんどちらも欠かせません。
でも、断水すると同時に困るのがトイレです。

8月15日午後2時時点でも、熊本県内では約2万6,450戸で断水が続いていたと報じられています。
猛暑が続く中で水を自由に使えない状況は、衛生面だけでなく、脱水や熱中症のリスクにもつながります。

だから個人的には、「水・食料・トイレ」ではなく、「水・トイレ・食料」くらいの気持ちで準備しておいてもいいのでは?と思いました。

そして、トイレは「簡易トイレを買っておけば終わり」ではありません。
使った後の排せつ物をどう保管するのか。どう回収するのか。どこで処理するのか。
そこまで考えて、初めて「使い続けられる備え」になります。


■避難所にいる人だけが「避難者」ではない

今回の地震では、発災翌日に県内432か所の避難所に8,886人が避難していました。
ただ、避難所に入らず、自宅や車の中などで避難生活を送る人もいます。
実際、8月15日時点でも80か所の避難所に3,205人が残っていたと報じられています。

「避難所にいる人=避難している人」ではないんですね。

自宅にいる人、車中泊をしている人、高齢の方、障がいのある方、ペットと一緒に避難している方……
それぞれに必要な支援は違います。

これからの防災では、単に「避難所を用意する」だけでなく、地域全体で、どこにどんな人が避難しているのかを把握し、必要な支援を届けられる仕組みも必要になってくるのではないでしょうか。


■備蓄は「ある」だけではなく「届く」ことも大切

災害が起きたとき、道路が無事とは限りません。
道路が寸断されてしまえば、倉庫に水や食料がたくさんあったとしても、必要としている場所まで運ぶことができません。

つまり、「備蓄している」=「使える」ではない
ということです。

家庭でも企業でも、一か所にすべてをまとめて備蓄するだけではなく、可能な範囲で分散しておく。
そして、いざというときに使える輸送ルートや、燃料、配送を担当する人などについても考えておく。

少し大がかりに感じますが、企業の防災を考えるうえでは、こうした「物を届けるところまで」の準備も大切になってきそうです。


■家や会社は「壊れない」だけで十分?

今回の熊本地震では、8月15日時点で住家被害が3万894棟に達し、そのうち全壊が1,283棟と報告されています。
もちろん、建物そのものの耐震性を高めることは、命を守るためにとても重要です。

──が、ただ、これからはもう一歩進んで、
「建物が大きく壊れなかった後、そこで生活や仕事を続けられるか?」という視点も必要なのではないでしょうか?

例えば、家具の転倒を防ぐ。
停電に備えて非常用電源を用意する。
断水しても使えるトイレを準備する。
水や食料を備蓄する。
会社なら、事業を止めないための代替拠点や連絡手段を考えておく。

こうした一つひとつをつなげて考えることで、「その場で生活を続けられる家」や「事業を続けられる会社」に近づいていくのだと思います。


■熊本地震から、これからの防災を考える

今回の熊本地震を見ていて、私が一番強く感じたのは、「備えていたか」だけではなく、「止まっても暮らし続けられるか」ということでした。

地震そのものを止めることはできません。停電や断水を完全になくすこともできません。
道路が通れなくなることもあります。
だからこそ、「もし止まったら、どうする?」を一つずつ考えておく。
それが、これからの防災なのかもしれません。

そして、このことを南海トラフ地震に置き換えて考えてみると、私たちの暮らす四国でも、決して他人事ではありません。
今回の熊本地震をきっかけに、「耐震」だけではなく、「その後も暮らし続けるための備え」について、私たちも改めて考えてみたいと思います。

これからの防災を考えるうえでは、耐震・トイレ・分散備蓄・電源・物流・BCP……
こうしたものを別々に考えるのではなく、一つの「災害後も暮らしや仕事を続けるための備え」としてつなげていくことが、大切になってくるのではないでしょうか。
令和8年熊本地震から考える「地震の後」の備え
令和8年熊本地震から考える「地震の後」の備え
夏のマリンレジャーの最中での大津波警報
2026/08/18
夏になると、海水浴をはじめ、磯釣りやサーフィン、SUPなど、海で楽しむ機会が増えてきます。

では、もし海で遊んでいる最中に地震が起きたり、大津波警報が発令されたりしたら、私たちはどう動けばよいのでしょうか?

海のレジャーは、今どこにいるのか、岸からどれくらい離れているのかによって、取るべき行動が変わってきます。

ただ、どのレジャーにも共通している大切なことがあります。

それは、

「津波を確認してから逃げるのではなく、強い揺れや津波警報などをきっかけに、早めに避難する」

ということです。

気象庁や海上保安庁も、海の近くで強い揺れや長い揺れを感じた場合は、津波警報を待たずに海岸や河口から離れ、できるだけ高い場所へ避難するよう呼びかけています。

今回は、海水浴、磯釣り、サーフィン、SUPなど、それぞれのレジャー中に地震や津波が起きた場合について考えてみました。

① 海水浴中だったら?

海水浴中に地震や津波警報があった場合は、まず海から上がり、安全な場所へ避難することが基本です。
海水浴場では、津波避難ビルや高台など、あらかじめ避難場所が決められているところもあります。
「荷物を置いていくのはもったいない……」
と思ってしまうかもしれませんが、こういうときは荷物より命が優先です。

海を振り返って津波の様子を確認したり、写真や動画を撮ったりするのもやめましょう。
また、家族とはぐれてしまった場合も、探すために海岸へ戻るのではなく、まずは自分自身が安全な場所へ避難することが大切です。

「とにかく海から離れて、高いところへ」

これを覚えておきたいですね。


② 磯釣りをしているときは?

磯釣りは、海のレジャーの中でも特に注意が必要です。
岩場は足元が悪く、波が来たときに逃げられる場所も限られています。
「まだ釣り道具を片付けていないから……」
「クーラーボックスだけでも……」
と思ってしまうかもしれませんが、地震や津波の危険があるときは、釣り道具をすべて置いてでも避難することが大切です。

竿もクーラーボックスも、また買うことができます。
魚も、また釣りに行けばいい。
命には代えられません。

磯釣りでは、普段から「ここで地震が起きたら、どこへ逃げるか」を確認しておくことも大切ですね。


③ サーフィン中だったら?

サーフィンの場合は、少し判断が難しく感じるかもしれません。
「沖にいるから、津波が来ても大丈夫なのでは?」
と思われることもありますが、サーフボードだけで津波から逃げることを前提にするのは危険です。

津波がいつ来るのか、どれくらいの大きさなのかを海上で判断するのは難しく、沖へ出るために必要な距離や体力もあります。

そのため、海岸付近にいる場合は、できるだけ早く海から上がり、高台などの安全な場所へ避難することが基本です。

「津波が見えてから逃げる」のではなく、地震の揺れや津波警報などをきっかけに、早めに行動することが大切です。


④ SUPを楽しんでいるときは?
SUPも、地震や津波が起きたときには注意が必要なレジャーのひとつです。
SUPはサーフィンなどに比べるとスピードが出にくく、風の影響も受けやすい乗り物です。
そのため、海上で大きな地震が起きた場合には、無理に沖へ移動するのではなく、状況を見ながら安全を確保する必要があります。

岸が近く、安全に戻れる状況であれば、できるだけ早く着岸して避難します。
一方で、すでに沖に出ている場合などは、無理に戻ることがかえって危険になることもあります。
その場の海況や距離などを考え、現地の防災情報や指示を確認しながら行動することが大切です。


⑤ シーカヤックの場合は?

シーカヤックも、岸に近い場所であれば、着岸して高台などへ避難することが基本です。
ただし、数km沖まで出ているなど、岸からかなり離れた場所にいる場合は、状況によって判断が変わります。
海上での判断に迷った場合は、ガイドや関係機関からの指示があれば、それを優先しましょう。

「海にいるから、とにかく岸へ戻る」
と決めつけるのではなく、自分が今どこにいて、どの行動が一番安全なのかを考えることが大切です。


⑥ プレジャーボートの場合は?
プレジャーボートについては、少し考え方が違ってきます。
船舶の場合、条件によっては港や沿岸から離れて沖合へ避難するという選択肢があります。

ただし、これは十分な操船能力があり、エンジンや船の状態、海の状況、津波が到達するまでの時間などを考慮したうえでの判断です。
「津波が来たら、とりあえず沖へ出ればいい」
ということではありません。

一般のマリンレジャーで海上にいる場合は、無理な操船をせず、海上保安庁などの指示や防災情報を確認して、安全を確保することが大切です。

海のレジャー、危険度は?

あくまで「津波が発生した場合に、避難の難しさ」という観点で考えると、私は次のようなイメージになるのかなと思います。

レジャー/危険度/基本的な行動
磯釣り/★★★★★/すぐに避難
SUP /★★★★★/状況に応じて着岸・避難
海水浴/★★★★☆/海から上がって避難
サーフィン/★★★★☆/海から上がって避難
シーカヤック/★★★☆☆/着岸・避難(状況による)
プレジャーボート/★★☆☆☆/条件により沖合退避など

もちろん、これはレジャーそのものの危険度ではなく、地震や津波が発生した際に、どれだけ安全な場所へ移動しやすいかという目安です。

実際には、岸からの距離や海の状況、津波の到達時間などによっても大きく変わります。

海では「迷ったら早めに逃げる」

今回調べてみて、海での防災で一番大切なのは、
「津波を見てから逃げる」のではなく、「揺れたら逃げる」「警報が出たら逃げる」
ということなのだと改めて感じました。

海水浴中でも、釣りをしていても、サーフィンやSUPを楽しんでいても、まずは自分の命を守ることが最優先です。

釣り道具も、サーフボードも、SUPも、荷物も、また取り戻すことができます。
でも、命は一度しかありません。
せっかくの夏の海を楽しく過ごすためにも、海へ出かける前に、
「もし今ここで地震が起きたら、どこへ逃げる?」
と、一度家族や一緒に行く人たちと話しておくと安心ですね。

「備えておいてよかった」と思えるように、楽しむ前にほんの少しだけ、防災についても考えてみてはいかがでしょうか。
夏のマリンレジャーの最中での大津波警報
夏のマリンレジャーの最中での大津波警報
今、私たちにできる支援を考えてみませんか?
2026/08/03
7月28日16時27分、熊本県熊本地方でM7.1、最大震度7の地震が発生しました。
その後も震度5弱の地震が相次ぎ、多くの方が不安な日々を過ごされています。

8月1日夜の時点では約6万9,400戸で断水が続き、9,045人が避難生活を送っています。
今もなお、救命活動や生活の維持が最優先の状況です。

ニュースを見るたびに、「何か力になりたい」「自分にもできることはないだろうか」と感じている方も多いのではないでしょうか?

そんな時こそ、焦って現地へ向かうのではなく、現地の状況や要請に合わせて動けるよう準備しておくことが大切です。今回は、今すぐ始められる支援についてご紹介します。

① まずは「義援金」や「支援金」で支える

義援金は、被災された方の生活再建のために直接配分されるお金です。日本赤十字社では10月30日まで受け付けており、熊本県の義援金配分委員会へ全額送られます。

一方、支援金は炊き出しや家屋の片付け、避難所の運営などを行うNPOやボランティア団体の活動費として活用されます。赤い羽根共同募金の「ボラサポ・令和8年熊本地震」でも受け付けています。

「何かできることはないかな」と思った時は、まずは信頼できる公式窓口を通じて支援することが、被災地にとって確実な力になります。企業として支援を行う場合も、会社として寄付を行い、その内容を社内で共有しておくと、社員の皆さんにも支援の目的が伝わりやすくなります。


② ボランティアは「準備」をして待つ

熊本県社会福祉協議会では、災害ボランティアの事前登録が始まっています。
一部地域では活動も始まっていますが、募集人数や活動内容などは地域によって異なります。

今は、
・登録せずに現地へ向かわない
・自治体や社会福祉協議会へ直接問い合わせをしない
・宿泊・食料・水・燃料・装備は自分で準備する
・ボランティア保険に加入する

といった「自己完結」が基本とされています。

現地へ行って役に立ちたいという気持ちはとても大切です。
しかし、多くの車が被災地へ集まると、緊急車両や給水車、復旧作業の車両の通行を妨げてしまうこともあります。

今は、現地からの要請があった時にすぐ動けるよう準備を整えておくことが、結果として大きな支援につながります。


③ 建設業だからこそできる備えも

建設業に携わる会社には、一般の方にはない「支援できる力」があります。

例えば、
・対応できる人数や活動日数
・トラックなどの車両
・ブルーシートや養生材、応急修繕資材
・災害用トイレや衛生用品
・建物や住宅の被害確認の経験
・物資の仕分けや配送ができる体制
・自己完結できる食料、水、燃料、宿泊手段
・現地へ向かえる最短日程
・責任者と連絡先

こうした内容をあらかじめA4一枚程度にまとめておくと、支援要請があった際にもスムーズに対応できます。

支援の依頼があれば、県や社会福祉協議会、建設業界団体などの案内に沿って行動することが大切です。
こちらから何度も問い合わせるのではなく、募集内容を確認しながら動くことで、より必要とされる支援につながります。


■仲間同士でできること■

経営者団体や取引先など、仲間同士で支援を考える場合は、
・公式窓口への募金
・支援できる会社や人材、車両の登録
・現地から要請された物資だけを調達する

この3つを意識すると、被災地の負担を減らしながら支援できます。

善意で集めたペットボトルや古着、食品なども、受け取りや保管、仕分けなどの負担になってしまうことがあります。必要な物資が公表された際は、送り先や品目、数量、受付期間を確認してから送るようにしましょう。

また、災害時には偽の募金や悪質な修理業者なども少なくありません。寄付をする際は、日本赤十字社や熊本県、共同募金会など、信頼できる窓口を利用することが安心です。

『私たちにできることを、一歩ずつ』

災害が起こると、「何かしなければ」と気持ちが焦ってしまうものです。
でも今は、現地が本当に必要としているタイミングで、必要な支援を届けられるよう準備しておくことも、大切な支援のひとつです。

今日できることを整理すると、
① 公式窓口へ寄付する
② 災害ボランティアへ事前登録する
③ 自社・自団体の支援可能な資源を整理しておく
④ 社内で支援担当者を決めておく
⑤ 現地からの正式な要請を待つ

このような流れになります。

私たち建設業には、復旧や応急対応など、いざという時に役立てる力があります。
その力を本当に必要な場面で発揮できるよう、今できる準備を一つずつ進めていきたいですね。

被災地の一日も早い復旧と、皆さまが安心して日常を取り戻せることを心より願っています。
今、私たちにできる支援を考えてみませんか?
今、私たちにできる支援を考えてみませんか?
オンラインショップで防災グッズを購入